難しい決断が、人格を築く 

人間の人格を形作るのは、これまでにどれだけ多くの「難しい決断」を下してきたか、それに大きく左右されると思う。そして、その「決断の質」も同じくらい重要だ。より困難で、より深く考えた決断を積み重ねるほど、強い人格が作られていく。僕がこれまでに出会った「人格者」と呼ばれる人たちは、経営者やリーダーとして多くの人を引っ張っりながら、数多の難しい決断を経験してきていた。

その理由は、シンプルだ。

  1. 難しい決断が、その人の価値観を強化する
  2. 難しい決断が、学びの機会を与えてくれる
  3. 難しい決断が、新たな視点を広げ、他者への共感力を育む

では、僕たちはどのように難しい決断に向き合うべきなのだろうか?

難しい決断とは?

そもそも、「難しい決断」とは何なのか?

僕が考える「難しい決断」とは、痛みを伴い、ときには自分を傷つける可能性がある選択だ。それは、自分ひとりの問題ではなく、複数の関係者が関わる場面で、全員を満足させる道が存在しない瞬間。多くの要因とトレードオフが絡んで、正解も明確な答えも見つからない場面。そんな時にこそ、僕たちは本当の意味で試される。

例えば、こんなシナリオを想像してみてほしい。

  • パフォーマンスは高いけれど、カルチャーや組織に悪い影響を与えてしまっている役員を解雇すべきかどうか。
  • 次の資金調達に向けた重要なマイルストーンに到達できる兆しが見えてきたなかで、どのタイミングでコスト削減を行なうべきか。削減のタイミングが早すぎると調達の確度が下がってしまうが、遅すぎれば倒産のリスクが高まる。
  • 既存事業が頭打ちの状況だが、新規事業のアイデアはある。ただ、限りあるリソースをどこまで新規事業にかけるべきなのか。

どのシナリオもトレードオフがあり、どの道を選んでも誰かが苦しい状況に置かれてしまうだろう。

決断のためのヒント 

そんな難しい決断を迫られたとき、僕はこんなことを意識するようにしている。

  • ビジョンを大切にすること
    会社のビジョンは何か?そのビジョンを実現するために、どのようなアクションを取るべきなのか?特にスタートアップでは、ビジョンこそがすべての礎。人も資本も、そのビジョンに共感して集まってくる。だからこそ、リーダーはそのビジョンの実現に忠誠であるべきだ。
  • 信頼を最大化すること
    これは、全員を幸せにすることを意味するわけではない。ときには自分の決断で、誰かを失望させることもあるだろう。でも、ここで忘れてはならないのは、「決断をどう遂行するか」ということ。厳しい選択でも、透明性をもって進めることができれば、失われるかも知れなかった信頼を守れることだってある。「不要なサプライズ」は避けた方が良い。
  • 自分を信じる
    周囲の人は、それぞれ自分が正しいと思うことを語るだろう。その意見は参考にするべきだが、最終的な決断を下すのは自分だ。自分の直感を信じ、最も正しいと思える道を選ぶべきだ。なぜなら、その決断に一番コミットして、実行するのは自分自身なのだから。信念がなくては、そのエネルギーを注ぐことはできない。

どれも当たり前な話だけれど、「難しい決断」を迫られている場面では、多くの人の感情や思惑がぶつかり合うことが多く、自分自身の考えが揺らぎがちになる。そんな時のために、俯瞰して一緒に考えてくれる中立的なパートナーやアドバイザーがいれば、とても頼りになるだろう。

難しい決断に向かって走れ 

難しい決断を避けたり、逃げるという選択肢も、もちろん存在する。だけど、僕はあえて「逃げずに、その恐怖に向かって走ってほしい」と伝えたい。

なぜなら、その先にあるのは、あなた自身の成長とさらに強く磨かれた「人格」につながって行く道だから。

どちらにせよ、面倒なことというのは大抵の場合後からまた追いかけてくるもの。ならば、今のうちに立ち向かっておいた方が良いわけだ。

もし難しい決断を迫られたときは、今日この瞬間から堂々と前向きに、自分が信じるその道を進んでいこう。

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)

「Stripe、Atlassian、Coupa Software…超急成長企業をけん引してきた経営陣」「世界最大級のSaaSコミュニティを率いるSaaStrのCEO」「国内の急成長SaaS企業のリーダーたち」 11月20日(水)、東京・恵比寿で一堂に集結! ALL STAR SAAS CONFERENCE 2024  は、ついに来月の開催です!今回は、全12セッション中9セッションが、オフラインでの会場限定セッション。会場限定の特別展示や企画にも注目です。
日本を、世界を代表する経営のプロフェッショナルたちから
見て、聴いて、学ぶ機会を、お見逃しなく!


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人のネットワークも投資も、リスクがある時にこそ加わるべき ~ 伊藤穰一

これだけ多様性に富んだグローバルなネットワークを持っている彼は、稀有な存在だと思う。伊藤穰一さん、通称 Joi さん。

僕が日本のスタートアップシーンに興味を持つようになったきっかけも、シリコンバレーとの最初の繋がりを作ることができたのも、実は、そこに Joi さんの存在がありました。

Joi さんは、デジタルガレージの共同創業者であり、現在は千葉工業大学学長にも就任するなど多岐にわたって活動されていますが、僕にとっての Joi さんは、シリコンバレーと深いつながりを持つエンジェル投資家であり、人脈やテクノロジーについて多くの学びを与えてくれた恩師です。

今回のエピソードでは、グローバルなネットワークの築き方や AI について、そして「シリコンバレー」をテーマにお話ししました。

【ハイライト】

  • Joiさんと出会ったきっかけ (00:00)
  • リソースはストック型ではなくプル型である(01:34)
  • 良いネットワーキングとは(04:15)
  • 大人が「子供っぽい要素」を持つということ(05:35)
  • AIは、Openが良いのかClosedが良いのか、そしてこれからのAIのモデルについて(08:26)
  • Linkedin創業者Reid Hoffmanとの出会いと、彼がなぜシリコンバレーで影響力があるのか(15:02)
  • Microsoft CEOのSatya Nadella、Open AIのSam Altman、そしてSteve Jobsの奥さんについて(20:20)
  • どうしたらJoiさんのようにグローバルなネットワークを作れるのか(24:40)
  • Joiさん流「子育て・教育方針」(34:45)

今回はJoiさんのPodcast「JOIITO’s PODCAST」とコラボレーションさせていただきました。
Joiさんと「SaaS」をテーマに話したエピソードはこちら

ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝


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僕たちは、妄想力で負けないようにしなきゃいけない ~ 経営者は勝ち筋を作るプロフェッショナルであるべき

PayPay、一休、ZOZO、LINEヤフーなど日本を代表するプラットフォームの発展に大きく貢献されてきた小澤 隆生さん。これらのプラットフォームは、多くの人々に愛され、まさに日本のインターネットエコシステムを形成する基盤になっています。

小澤さんを迎えて今回お届けするポッドキャストでは、小澤さんご自身がこれまでの経験を通じて見出した「成功する経営者が共有する重要な特徴」について語っていただきました。

成功の要因とは何なのか。勝ち筋の見極め方、そして一兆円規模の企業を運営する経営者の視点とは。

野心的なビジョンを持ち、自らのビジネスをさらに成長させたいと考えている方々におすすめのエピソードです。

【ハイライト】

  • 勝ち筋を理解するための「調べるコツ」(0:08)
  • 楽天球団を作った時、なぜ居酒屋を調べたのか(2:43)
  • 打ち出し角度は、なぜ重要なのか(4:35)
  • 孫さんや三木谷さんに共通するヤバさ(11:10)
  • 社長の大胆性を維持するために(15:55)
  • 企業を急拡大させるために必要なのは、実は「新規性」ではない(17:40)
  • 1,000億円の経営と1兆円の経営の違い(20:50)
  • ポートフォリオ経営に必要なこと(22:50)
  • 従業員数万人に伝達しやすい言葉の意識(24:25)
  • ポートフォリオ経営に重要なゴールイメージ(30:00)
  • 目線の上げかた(33:15)
  • どんな会社を買収したいか(36:30)

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人は、スランプの時のみ成長する

1996年、SaaSやクラウドという言葉がまだ存在せず、日本のエンタープライズ市場にパッケージソフトが浸透していくのもまだこれから……という時期に、ワークスアプリケーションズは誕生しました。

ワークスアプリケーションズは、パッケージソフトの普及に大きく貢献し、現在のSaaS市場の誕生、そして業界全体の成長加速を促す存在となりました。

今回のポッドキャストでは、創業したワークスアプリケーションズを売上高500億円を超える企業に成長させ、同社退任後は HR共創プラットフォームを展開する「パトスロゴス」を起業した牧野正幸さん(Xアカウント)にお話を伺いました。

今のSaaSの原型となったB2Bソフトウェアの歴史、時代の変化に合わせた競争戦略や圧倒的な採用力を実現した取り組みなど、ワークスアプリケーションズでの約20年間の経営者としての経験と学び、そしてパトスロゴスでの新たな挑戦について深掘りました。

SaaS業界に関わる方はもちろん、すべての業界にいらっしゃる方に楽しんでいただける学びや気づきが多いエピソードです。ぜひお聴きください。

【ハイライト】

  • 1996年のB2Bソフトウェアの環境について
  • ワークスアプリケーションズの戦略
  • 年間2,000人のインターンを受け入れた理由
  • ワークス出身者に優秀な人が多いワケ
  • SaaSは、もう後退しない
  • AIがSaaS業界にもたらす影響
  • 10年後の日本、そして10年後のSaaS
  • リクルーティング部門には営業やコンサル出身者を入れた方が良い
  • エナジャイズできない経営者は0点
  • 採用のブレーキはかけない方が良い理由
  • 20代の時間の過ごし方
  • 社会貢献の大切さ

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「経営OSをアップデートする」サクセッションには、創業者の「否定」も重要になる。

創業から14年。上場したあとも、絶えず成長を続けるラクスル。先日、このラクスルの創業者である松本さんは、同社のCFOだった永見さんにCEOのバトンを渡しました。

そして松本さんは今、世界中にいるチームと共に、ITデバイス&SaaSの統合を目指すクラウドサービス「ジョーシス」をグローバルで展開することに力を注いでいます。

今回は松本さんに、CEOを退くことを決意した背景や、グローバルな視点でのビジネスの考え方についてお話しいただきました。さらに、彼のこれまでの経験や、これから先の100年のビジョンについても掘り下げた内容になっています。

新たな挑戦を続ける松本さんの話は、夢を追い続ける起業家や経営者に聴いてもらいたいエピソードです。

【ハイライト】

  • CEOのバトンを渡そうと思った理由
  • 「経営OS」のアップデートと、Inorganicな成長に必要なリーダーシップ
  • CEOのサクセッションを上手く進めるためのアドバイス
  • なぜジョーシスだったのか —— アイデアを選んだ理由やその基準について
  • 「ワンチーム」と「ワンプロダクト」へのこだわり
  • グローバル企業のマネジメントについて
  • 松本さんにとって「起業家」とは?
  • 100年後に価値が上がるもの、下がるもの
  • 100年続く事業はどう作るべきなのか

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500年続く老舗和菓子店「とらや」がお客様に愛されながら、変化を恐れず進化し続けられる理由

500年。

想像することさえ難しい、遥か遠い時間にさえ感じるこの年数。

でも日本には、実際に約500年以上続く企業が存在します。その1社が、日本を代表する老舗 和菓子店「とらや」です。今回のポッドキャストは、株式会社虎屋 18代目、代表取締役社長の黒川 光晴さんをゲストにお迎えしました。

お客様から深く愛され続けながら、時に従来のやり方を変えてでも進化の道を歩む。

何百年もの間、大切に守られ続けるカルチャー、そして時代とともに変化を恐れず進化する姿勢。黒川さんのお話を聞いて、人や企業が長く、力強く存在し続けるための本質的な要素とは何なのか、少し見えてきたように感じました。

「とらや」が絶対に譲らない軸は、驚くほどシンプルなものでしたが、企業の在るべき姿を明確に示しているものであり、この軸があるからこそ、お客様から長く愛され続けているのだと思います。

そして、200年以上も前に制定された「バリュー」や「掟書(おきてがき)」には、業界に関係なく、現代に生きる僕たちが大切にしたい言葉たちがたくさん綴られていました。

【ハイライト】

  • いつから虎屋の跡継ぎを意識しはじめたのか
  • アメリカのビジネススクールで学んだこと
  • 1805年に定められた「掟書(おきてがき)」について
  • 伝統を守りながらも、変化するべきこととは
  • 事業の「コア」をアップデートするための新しい試み
  • 数百年以上も続く事業の成功の秘訣

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ハングリーであること、恐れていること

Sequoia Heritage Keith Johnson、Sequoia Capital Doug Leone、Snowflake Frank Slootman、Kleiner Perkins Mamoon Hamid……

僕は、彼らのような尊敬する経営者やリーダーの方たちと直接話す機会に恵まれてきた。これは本当に、本当に光栄なことで、今もなお、彼らとの時間を思い返すだけで、興奮を覚えるほどだ。

彼らは、それぞれが独自の視点と経験を持っていて、性格も全く違う。でも一つだけ。彼ら全員に共通する特徴がある。それは、飽くなきハングリー精神を持っていること。彼らのハングリー精神は、より多くの富を得るためでも、大勢の人からの賞賛を得るためでもなく、卓越性、パフォーマンス、そして真実に対する執着心からきているのだと、僕は感じている。

Doug Leoneが以前、こんな話をしていた:

#2であることは勝つことではない。#2であるということは、#1になることに敗北したということだ。

Dougのメッセージはとても明確で、「最善を尽くさないことは選択肢ではない」ということ。この言葉は、僕に深く響いて、今も投資チームのマントラとなっている。

ハングリーであることで、恥をかくことや間違いを指摘されること、未知の領域に挑戦することに対する怖さを、全て振り払うことができる。フィードバックを渇望して、更なる成長のための道を絶えず探求することになる。

僕が以前、ある支援先の組織診断を実施して、企業の代表である起業家にその診断結果をフィードバックしたとき、彼が真っ先にした質問は、「僕たちは、ナンバーワンですか?」だった。とにかくパフォーマンスを向上したい、真実に向き合いたい。こういうスタンスを持つ経営者は、間違いなく大成功するだろう。

ハングリーであることに対する恐れ

この情熱は、このこだわりは、人を遠ざけてしまうのだろうか?
要求が多すぎると思われるだろうか?

以前の僕は、「ハングリー精神」そのものに恐怖を抱いていた。でも、Frank Slootmanの言葉が、その恐怖を消し去った。

“ You can push the standards in every meeting, every email, every slack. You should AMP IT UP in every interaction. Don’t be afraid that people will leave you because of your intensity. Because the best people will stay.”

「一つひとつの会議やメール、スラックで、基準は常に押し上げることができる。すべての対話の中で、物事を磨き、強化しようとするべきだ。あなたが、強烈なまでの情熱、こだわりを持つことによって人々が去ることを恐れないでほしい。最高の人々は、あなたのそばに残るから」

重要なのは、自分、そして周りに対して、誠実であること。情熱やこだわりを共有して、ミッションを理解する人々に囲まれることが、より充実した環境を作れる方法なのだと思う。

“WHY”の重要性

強力なハングリー精神には、明確な “WHY” の意識が必要だ。その理由は、大きく2つある。

まず一つは、あなたの強烈さの根本にあるものが何なのか、なぜ必要なのかを周りの人が理解できるよう、コンテクストを提供する。この努力を蔑ろにすれば、その強烈さも「クレイジー」だと捉えられてしまうかもしれない。

そしてもう一つは、困難な場面に直面したとき、明確な “WHY” は、あなたの『強さの源』になる。人には必ず、辛いと感じる時があるだろう。「なぜ自分はこんなに頑張るのだろう?」と思うことだってあるだろう。そんな時、明確な “WHY” を持つことで強い自分を維持できるだろう。

情熱と生活のバランス

卓越性を追求する道は、困難に満ちている。生活とのバランスを見つけるのも非常に難しい。Jeff Bezosが言うように、仕事と生活を単純にバランスさせるのではなく、二つの間の調和を求める必要がある。

今でも僕は、この調和を見つけるのに苦労をしている。自分を少しストレッチさせ過ぎているかもしれない。「自分は本当にこのまま続けるべきなのだろうか?」と自分を疑うことさえある。

そういうとき、僕は一時的に減速して “WHY” に立ち戻っている。

少なくともこの調和を生み出すためには、ライフパートナー、そしてビジネスパートナーたちと自分のミッションを共有し、同じ方向を目指すことが大切なのだと思う。僕は、パートナーたちの支えなしでは、間違いなく、今、この場所にはいない。

ジャーニーであり、目的地ではない

「僕のハングリー精神は十分なのか?」「もっとできるのではないのか?」
自分を疑う場面は山ほどあるし、「ハングリー精神を持つべきだ!」などと僕が書くこと自体、ふさわしくないのかもしれない。

ただ、自分は、果たしたいこと、果たすべきことから、まだまだほど遠い場所にいることは間違いない。今の自分は、まだ進化と成長を続けるジャーニーの途中にいる。

僕の “WHY” の中心には、いつもALL STAR SAAS FUNDが在る。そして、このジャーニーを続けられているのは、僕たちを信じてくれている起業家や投資家、メンターの皆さん、応援してくださっている全ての方達がいてくださってこそであり、本当に、本当に感謝でいっぱいだ。

偉大な何かを達成するためのハングリーさは、意識的な選択だと思う。自分を満たすため、夢を実現するための方法は無数にある。だから、もし、このハングリー精神に共感してくれた起業家や、「ハングリーなVCになりたい」と感じた人がいれば、僕に連絡をしてほしい。

決して簡単ではないし、苦労はするだろう。だけど、一緒にいれば、お互いを高め合うことができるし、勝利をより確実なものにできると信じている。

ハングリーなVCになりたい方はこちらを通してご連絡を

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)

人と会社の「コンテクスト」が魔法を起こす

Great vision without great people is irrelevant
(偉大なビジョンは、偉大な人々がいなければ意味がない) 
~ Jim Collins

スタートアップには、一人の「人」の動機や強みと、スタートアップのビジョンや戦略が、完全に一致する、 “魔法の瞬間” を迎えることがある。

その瞬間をキャッチしたら、その人は、まるでスーパースターを獲った無敵状態のヒーローになったかのように、勝利を重ね続ける。ALL STAR SAAS FUNDがタレント支援活動をさせてもらっている中で、僕は幸いにも、そんな魔法の瞬間に何度か出会したことがある。

成長と勝利をし続ける人が多いスタートアップは、会社もまた同様に成長し続け、勝利し続ける。

「それはそうだろう」と思う人も多いだろう。

でも想像してみてほしい。「自分が描くゴール」と「相手の本当の望み」が完全に、完全に一致する経験をしてきた人は、いったいどのくらいいるのだろう?ましてやそれが、「人」と「会社」の間で起こる確率を考えたら……。

だから、僕はこの瞬間を「奇跡のようだ」とさえ思う。

コンテクストを理解する

この魔法を引き起こすためには、どうしたら良いのだろう。
そこに、再現性はあるのだろうか。

そんなことを考えるようになって、「もしかしたら、コンテクスト(背景)の理解」が一番大事なのかもしれない、という回答にたどり着いた。ここからは、会社が人のコンテクストを理解するためにできることをブレイクダウンしていこうと思う。

人生で何を達成しようとしているのか。根底にある動機は何か。何が彼らを幸せにして、何が彼らを苦しめているのか。

僕たちが、普段(起業家や採用などの)面談で話をする時、これらの答えのヒントを探るため、【相手の成長過程】についての話をすることがある。その人は、どんな幼少期を過ごして、学生時代はどんな生活をしていたのか。家族との関係はどうだったのか……。若い頃の自分の経験は、その人の『人格』を創り上げたコンテクストが隠れていることが多いからだ。なかでも僕がよく聞く質問を3つ紹介する。

転んだ時、あなたはどうする?

人は、挑戦し続ける限り必ず、転ぶ。

この転んだ時のエピソードは、その人の『原動力』を知るきっかけになり、また、転んだ時の思考プロセスを理解するためのヒントも隠れている。

社会人になってからでも学生の頃の話でもよいので、その人が挫折、絶望を感じた時のエピソードを聞いてみよう。この時、こんなポイントに注目してみて欲しい。

立ち直りのプロセス:転んだとき、何を考え、どう立ち上がったのか。
圧倒的な努力で乗り越えたのか?人を巻き込んで乗り越えたのか。
直感的に動くタイプなのか?慎重に考えて動くタイプなのか?

立ち上がる理由:転んだ後になぜ立ち上がろうとしたかの理由を知ることができると、「その人を動かす原動力は何なのか」を知ることができる。単なる負けず嫌いだから?完璧主義者や責任感が強いから?成長のプロセスが楽しいから?それとも失望させたくない相手が存在するから?

回答自体に、正解・不正解は存在しない。
立ちはだかる困難を乗り越えるためのその人なりの「成功の型」、そして転んでも立ち上がろうとする原動力が何なのかを探りたい。

触れて欲しくない “トリガー” は何か?

ストレスを感じるポイントは人それぞれ。

ストレスは、「その人が何に敏感で、何にこだわりがあるのか」を理解するヒントになる。裏を返せば、根源となる強みを理解できるようになる。注目するポイントはここだ。

なぜ触れてほしくないのか?:過去のトラウマや失敗からきているのか。こだわりからきているのか。それとも何かに対する苦手意識からきているのか?

ストレスと感じた時、どうしている?:そのストレスを感じたとき、解決に向けてすぐに行動を取るのか、それとも我慢をするのか?感情は見せるのか、それとも抑えるのか?

ストレスを感じる理由から、その人の価値観が見えてきたり、ストレスとの向き合い方や対処法で、本人のコミュニケーションスタイルなどが見えてきたりする。

人生のKPIは何か?

人には、最大化、または最小化させたいと思っている「指標」がある。

それは「お金」かもしれないし「子供との時間」かもしれない。ここもまた、間違った答えは存在しない。重要なのは、そのKPIを設定した背景、そしてそのKPIを最大化させるためにどんな行動を取っているかだ。

KPIを知ることで、本人のモチベーションの軸を理解できるようになる。お互いのKPIを開示することができれば、信頼関係を構築するきっかけにもなる。この質問は、とてもパワフルな質問で、僕が一番好きな質問、かもしれない。

整合性をはかる

「人のコンテクスト」を理解することができたら、次に自分たちの会社が掲げているビジョンや環境と一致しているのかを振り返ってみてほしい。

  • その人の判断基準 ⇔ 会社のバリュー
  • その人のコミュニケーションスタイル ⇔ チームとの相性
  • その人の壁を乗り越える型 ⇔ 会社の環境や上司のマネジメントスタイル
  • その人のKPI ⇔ 会社がそのKPIに貢献できるか
  • その人の価値観 ⇔ 会社とのマッチ度やその価値観を活かせられるか

一つひとつの整合性を確認していくと、最終的なマッチ度が見えてくるだろう。もちろん100%マッチすることはなかなか難しい。でも、ここで大事なのは【総合的にその人が会社で成功するイメージが湧くかどうか】だ。

密度の高い対話と相手を理解しようとする強い姿勢、そして、それぞれの価値観と目標が同じ方向を向いているかを評価するための時間……「魔法の瞬間」を迎えることは簡単なことではない。間違えることも沢山あるだろう。だけど、この瞬間が生まれた数だけ、人も会社も成長することは間違いない。だからこそ、僕も永遠のテーマの一つとして努力を続ける価値があると思っている。

そして、ここまで読んでくれた人に一言!!

ALL STAR SAAS FUNDでは、支援先が、より強い組織を築いていくために、人とスタートアップの出会いを作り、支援する「HR Partner」を募集しています!「魔法の瞬間」を迎えるためにスタートアップと一緒になって活動をするハートフルでやりがいのあるポジションです。少しでも興味ある方はご連絡ください。募集中のポジションについての詳細はこちらです!ご連絡お待ちしています!


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あのとき組織が壊れなかったのは、「経営のリズム」と「明るさ」があったからだった。

今回は、わずか一年で従業員数が3倍以上に増え、最近38.5億円の資金調達を実現したhacomonoのCEO 蓮田さんとCOO 平田さんとのエピソードをお届けします。

この急成長を支えたのは、蓮田さん自身のミッションへのこだわり、マネージャーの成長にフォーカスした組織づくり、そして平田さんの参画によって導入された経営のリズムがあったからだと蓮田さんは話します。

COO採用の進め方から、権限移譲のやり方まで。これまでの一年間の急成長を振り返りながら深く掘り下げます。蓮田さんと平田さんの経験に学ぶ、成長企業の成功のカギとは。

ハイライト

  • COOを探すべきだと思ったきっかけ
  • 経営は一人ではなく、チームで行うもの
  • 社長がCOO採用にコミットする必要性
  • COO採用の基準とその見極め方
  • 最初のミーティングのスタンスと、相手を巻き込む採用プロセス
  • COOへの権限移譲は、人間関係の構築が先
  • COOのキャッチアップには、トップダウンとボトムアップの両方がある
  • CEOからすぐに引き継げるものと引き継げないもの
  • チーム間の連携では、明るく前向きに話すことが重要
  • 従業員が12ヶ月で3倍増でも、組織が壊れなかった理由
  • 早い段階から定性的なメッセージの重要性を研ぎ澄ます
  • 問題が出てきたら、「マネージャーが成長する」ことを意識する
  • CxOの役割分担で互いにバックアップする
  • コア・コンピタンスを定義するタイミングとその会社への影響

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AIとSaaS — その戦略、事例、そして未来

(本記事はNotion AIを活用しています)

スマートフォンが、ウェブに新たな大きな波を作ったように、AIは、SaaS業界に大きな変革を起こすと思っている。

David Sacks

AIの発展、そしてGPTを活用したアプリ、サービスがどんどんと増えている昨今、その勢い、影響力はますます強まっている。なかでも、つい先日発表された「Notion AI」は、特に上手にAIを取り入れ、従来の利便性を保ちながらもユーザーに新たな価値を提供した例だろう。

このAIの波は、SaaS業界にも革新的な波をもたらしている。SaaS企業がAIを活用することで、より強力なプロダクトを提供し、普及を加速させられる可能性があると思う。今回は、AIを取り入れたサービス事例を紹介しながら、SaaS企業がAIを取り入れるときに考えるべきポイントにも触れていく。

AIの事例

AIを取り入れた最近のSaaSプロダクトを調べてみて、それらを大きく3つのカテゴリに分類してみた。

(1)プログラミングやカスタマーサポート業務などを自動化したりアシストしたりする「サジェスト/アシスト」カテゴリ

(2)大量のデータから重要なポイントのみを抜き出したり、サマライズする「サマライズ」カテゴリ

  • 会議内容のサマライズ (Vowel)
  • お問い合わせ内容などからフィードバックをサマライズ (betterfeedback)
  • 記事の要約 (Genei.io)

(3)画像、音楽、動画、コピーなどのクリエイティブを生成する「クリエイティブ」カテゴリ

SaaSの提供価値を高めて普及を加速する

僕は、AIとSaaSを切り離して別々のものとして見るのではなく、それぞれが “ソフトウェア” という世界の中の1つとして混ざり合うような感じになっていくのではないかと考えている。SaaS企業は、AIによってより多様にお客さまの課題を解決できるようになり、提供価値はさらに上がっていくことは間違いない。また、AIがドライブする新たなUXの実現によって、SaaSやソフトウェアの普及がもっと加速する可能性もある。

例えば、DBの構築や管理を求められてきたサービスは、AIによって自動化できる幅が広がることで、お客さま側の教育やベンダー側の工数を減らすことができ、より広い対象に向けてサービスを提供できるようになる。大量のデータを扱うサービスも、AIによってより使いやすく、簡単に使いこなせるようになる可能性だってある。

音声コマンドで、より高度で複雑な指示を出せるようになれば、PC環境でしか実現できなかったことを、ハンズフリーの環境でも使えるようになる。

AIの可能性は、無限にある。

Source: Foundation Models Are The New Public Cloud

AIもSaaSも基本戦略は変わらない

AIは、コモディティー化されていく前提で考えておくべきだろう。中長期目線でみれば、AIの精度やAIを取り入れていること自体を差別化要素にすることは難しくなる。

前述の通り、AIとSaaSは切り離して考えるのではなく「AIを取り入れたSaaS」として考える。そう考えれば、SaaSの基本戦略であるプロダクトのポジショニング、進化を続けるプロダクト、お客さまに寄り添った設計やUX、データやワークフローを押さえることが、引き続き重要であり続けることは明白だろう。

AIもSaaSもまだまだこれから

AIによって、SaaSはさらに大きな可能性を、そして市場にさらに大きなインパクトをもたらすだろう。

こうしている今も、世界中で多くのAIスタートアップが生まれて、新たな挑戦に挑む企業が登場している。でも現段階では、そのほとんどがアーリーアダプターの興味関心によって試されているような状態だ。これが実際の業務に本当に定着するのか、中長期で価値を提供し続けることができるのか。最適なUXは何か、十分な精度が備わっているのかなど、未知数な部分はまだまだ多い。

ただ、AIが多くの業界に「新たな変革の波」を起こすことは間違いないと思う。ソフトウェアの世界で挑戦する起業家のみんなにとっても「どのようにして自分たちのサービスにAIを取り入れられるのか」を考えるにはベストなタイミングだろう。

(Thank you kobajenne for editing this blog)


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